シーホースとナッツ

初めての子育てに奮闘中。新米パパ目線で、思ったことなどを書いていきます。

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企業に「働くママに寄り添う」前にやってほしいこと

サイボウズという企業の、
働くママたちに、よりそうことを。
と銘打った取り組みの件。

今年に入って公開された第2弾のムービーにも
実に多くの意見が出されていますし、
私もTwitterで散々苦言を書いたので、
もうこれ以上何も言わないでおこうかと
思っていたのですが、やはり大事なことなので
改めてまとめておこうと思います。

Twitterでは、どうにも一人だけ方向性の違う
怒り方をしていた気がしますが、
ここでも例の「パパにしかできないこと」と
いう映像の中身について、細かく言うつもりは
あまりありません。
「作業は分担しても責任は分担しないで」
「役割ではなくタスクとリソースの問題」
「向き不向きを言ってる場合じゃない」
夫婦の役割分担の話は
このサイトで何度も言ってきたことですし、
当事者である「働くママ」の皆さんが
存分にツッコミを入れて下さっていますので、
そちらを読んで頂ければと思います。
そのことよりも書いておきたいのは、
「企業として、日本の子育てに問題意識を
 持っているのなら、何をして欲しいか」
についてです。
かなり長いですがご容赦ください。


■日本の子育ての問題点

あくまで個人の感覚ですが、今の日本に対して
私は「非常に子育てのしにくい国」だという
印象を持っています。
理由は子育ての当事者である皆さんには
今さら言うまでもないことかもしれませんが、
大きく分けて「お金の問題」「時間の問題」
そして「意識の問題」が子どもを育てる上での
障害になっているように見えます。

お金というのは、非正規雇用で働く人の割合が
増加して、貧困が拡大していることなど、要は
「子育てするのに必要な収入が得られない人」
が増えているという問題です。
特に、再分配後の方が子どもの貧困率が
悪化している
という話もあるように、
社会として制度がまともに機能していない
状態の中で、「無理ゲー」などと言われながら
私たちは子育てをしています。

そして時間の問題というのは、被雇用者の
「長時間労働」のことです。
労働者である(主に)男性を会社に縛り付けて
彼らから家事・育児に使う為の時間を奪い、
反対に女性は家の中に閉じ込め、家事育児等の
「無償労働」を押し付けてきた社会。
結果、男は仕事以外のことに目を向ける
余裕など持てないほど働かされ、
女は元々背負わされてきた家の仕事を
抱えたままで外に働きに出ることになり、
仕事・家事・育児の3つの役割を
同時に一人でこなしているような状況です。

最後の「意識の問題」も同じことで、
「男は仕事、女は家事育児」という
ジェンダーによる固定化された役割意識は、
元を正せば企業を中心とした社会が
男を労働力として使い倒すために作り上げた
高度成長期以後の仕組みでしかないのに、
まるで初めから決まっていたかのように
今も日本人全体に深く染み付いています。
そのことが、時代の移り変わりに柔軟に
対応することを妨げ、結果として働き方の
選択肢を社会全体として狭めることに
なってしまっているわけです。
加えて、ここでは敢えて詳しく触れませんが
日本人の「男尊女卑」の問題も、同じく
意識の問題として大きく横たわっています。

終身雇用を盾に男は家の仕事から遠ざけられ、
その制度が崩壊し、もはや一人分の稼ぎでは
家族を養えないようになった今もなお、
相変わらず労働時間は長いまま。
そして女はその労働価値を低く見積もられ、
稼ぎ手となった後も正当な評価を得られず、
しかも役割意識は時代の変化に追いつかず、
家事育児労働も他の担い手はいないまま。
まさにあのサイボウズのムービーのような
つらい状況に追い込まれる働く母親を
次々に生み出し続けている、というのが
今の日本の育児をつらいものにしている
問題点である、というように見ています。


■個人ではどうしようもできないこと

本来これらの問題を解消できるのは、
「制度を作る」というとても大きな力を
持った「国」なのでしょうが、残念ながら
個人的にはそこに全く期待が持てずにいます。
現政権は、むしろ女性差別を助長し
性別による役割分担を強化させる方向に
進めたがっているように見えますし、
子育てを巡る状況は改善されるどころか
ますます悪化して行っているように見えます。

そして、次に問題解決のカギとなるのが、
良くも悪くも経済中心で回っているこの国の
将来を左右するほどの影響力を持った
「企業」という存在だと思っています。
というより、「非正規雇用による低賃金」も
「長時間労働」の問題も、元凶はここにある
と言っていいんじゃないかと考えています。
法人税減税とか、残業代廃止とかのニュースが
流れてくる度に、これだけ経営側にとって
都合のよい仕組みを作り上げておいて、
しかも国民は文句も言わずに働いていて、
まだ何か足りないものがあるの?くらいに
思ってしまうわけです。

翻って個人レベルではどうかというと、
以前TVで見たとある子育て夫婦の例ですが、
夫さんは朝も暗いうちから出勤し、
夜も日が替わる頃にやっと帰ってくる生活。
しかも非正規雇用で賃金もたかが知れてる、
奥さんは当然家から出て働きに出ることなど
できるわけもなく、一日中子どもの世話を
し続ける毎日。そんな人達を見てもなお、
夫さんに「もっと子育てに協力して」とか
「奥さんの気持ちに寄り添って」とか
言えというのか?という気持ちに
ならざるを得ません。

また我が家の例ですが、昨年は5年間働いた
会社で「雇い止め制度」の煽りを食い、
契約社員を続けられなくなりました。
正社員への道は提示してもらえたものの、
それはつまり周りの他の正社員と同じく
「毎日終電間際まで残業がある」という状況を
受け入れる、という道です。
今の孤立無援な状況で、現時点で自分が
「家事育児要員」として離脱するわけには
どうしても行かず、残念ながらその選択肢は
断念するしかありませんでした。


■企業だからこそできること

もちろん、自分のやりたいことばかりして
家庭を顧みないひどい父親もいるでしょう。
反対に、夫とのコミュニケーションを
図ることもせず、一人で全てを抱え込んで
今にも潰れそうになっている母親だって
きっといるだろうと思います。
でも、いくらそういう個人が意識を変えて
家庭の環境改善に目を向け、家のことが
潤滑に運営されるようになったとしても、
やっぱり一人一人の頑張りだけでは
どうにもならない「壁」があると思うのです。

だからこそ、そこは企業に動いてもらいたい。
今の長時間労働が当たり前の社会を、
企業の側から打ち崩してもらえなければ、
無力な我々個人がいくら頑張り続けても
社会を劇的に変えることなどできません。
というより、社会を変えるための力すら
持てないほどに、日本人は労働というものに
縛られているというのが現状だと思います。

サイボウズという会社は、その中でも
個人的に期待をしてきた企業でした。
これまでも社長自ら育休を取得したり、
「男性もまた抑圧されている」と説く
男性学の助教授と対談したりと、
「働き方の効率化」を促進させるという
本業以外にも、様々取り組みをされています。

今回も、ワーキングマザーが置かれている
状況に目を向けようとしていると聞いた時、
かなり期待をしたのも事実です。
でも蓋を明けてみたら、その取り組みは
あまりにも思っていたものとは違いました。

映像を作って、それをWebで公開することが、
彼らが考える問題意識を解決する上で、
本当に最善の手段なのでしょうか?

もちろん、働くお母さんのつらさに目を向け、
気持ちに寄り添うことは大切です。また、
家事育児を自分のこととして捉えられずにいる
父親の意識を変えていくことも、もちろん
やっていかなければならないことです。

でもそれは、企業がやることではない。
目の前で苦しんでいる妻の気持ちに寄り添って
話を聞いてあげることも、理解に乏しい夫に
自分の苦しみをきちんと伝え、一人では
抱えきれない負担を分かち合っていくのも、
お互いのパートナーや、身近な人の役割です。
少なくとも、それは一企業がやることではなく
個人のレベルの話か、むしろ反対に社会全体で
取り組むべき非常に大きな話だと思うのです。

企業として社会を変えたいのなら、やるべきは
家庭の事情にいちいち首を突っ込んで
「もっと奥さんを気遣いましょう」などと
説教することではないはずです。
そんな余計なお世話を働くくらいなら、
まさにあなた達の管轄分野の問題である
長時間労働に目を向け、それを解消できる
「制度」を作ることに積極的になって下さい。
ポエム的なメッセージで一般人の意識を
変えさせようとなどする前に、
そういう実績を積み上げ、明確な事実として
「具体例」を世に示していってほしいのです。
それこそが決して個人にはできない、
企業だからこそできる最も効果的な
「社会を変える取り組み」となるのでは
ないでしょうか。


■トップランナーとして

例のムービーに対するネットの反響の中には、
「問題提起しただけでもすごいことだ」
というような意見もありました。
でも、そんなのは得意先に売り込みに行って
プレゼン資料の冒頭部分だけを話して
「あとは後日…」と言って帰るようなもので、
私がそのプレゼンを受ける側の社長だったら
まずそんな会社とは取引しません。
どうしてもフックとして映像を使うなら、
その先にどういうゴールを設定していて
どんな方法で解決への道筋を作っていくのか、
という全体的なビジョンを示して初めて
成り立つことではないかと思います。

また、「あまり意識の高いこと言っても
響かないから、あれでよかったのだ」という
意見に関しても、以前から言っている
イクメン」の話と通じるのですが、
もともと周回遅れの状況なのに、最下位の
カメに合わせて「ゆっくり走れ」などと
言うのは、結局全体の歩みを止めさせるし、
むしろ頑張っている人達に対して失礼です。
先に行けるのならさっさと先に行って
頂上の地ならしをしておいてもらうのが、
その脚力を与えられたウサギの能力を
最も評価するということだと思うので、
今回まるで後ろを振り返るように
「家事育児に積極的でないパパに向けて」
などというメッセージを出したことを、
もっと怒っていいと思うのです。
そんなことしてる場合かと。

全体の底上げをすることも悪いことでは
もちろんないですが、今回のケースで言えば
そうやって走るペースを落とさせることが
日本社会の「何をやっても無駄」という
倦怠感につながっているようにも思えるので、
むしろサイボウズにはトップランナーとして
どんどん先に行ってもらって、
理想の形を「モデルケース」として我々に
見せてもらった方が、よっぽど希望が湧くし
応援したい気持ちになるというものです。


■見極め、評価する力を

ここまで大きなことを言っておいて何ですが、
私は一介のフリーランスに過ぎませんので
政治のことも経済のこともほとんど素人です。
ここまで書いてきたことも、別に何かデータの
裏付けがあってのことではなく、聞きかじった
僅かな知識と、あとは全て想像です。

でもこんな人間でも社会の一員ですし、
何より自分の子どもを未来に送り出すという
役目を持った「親」でもありますから、
少なくとも身近な「子育て」という分野で
何とか社会を変えようという志を持った
サイボウズという企業のことは、これからも
もっと注目していきたいと思っています。

そして、素晴らしい取り組みにはきちんと
評価をし、もし足を引っ張るような動きや
歩みを止めさせるような声が上がるなら、
それに対してもきちんと批判できるように
こちらも見ていくつもりです。

「働くママたちに、よりそう」と
彼らが言うのであれば、もちろん
社内にはそれを支援する制度が整っていて、
ちゃんと男女の給与水準は同じになっていて、
決定権を持つポストには男女が同数か
それに近い数で就いていて、当然のごとく
次期社長の席も、男女ともに同じ可能性で
門戸が開かれた状態である。
少なくとも、それを目指している企業である。
という前提で今後も見極めていかなければ
ならないと考えます。

そしていつか、サイボウズが先頭を切って
作った道筋を他の多くの企業も追随していき、
結果としていつか日本全体が
今よりもずっと子育てに優しい社会に
なっていることを、心から願います。

| 思うこと | 23:22 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

激しく同意します

たまたま読ませていただいて、非常に共感したのでコメントさせていただきました。

私も『個人の意識の問題』と矮小化している間は絶対に何も変わらないと思っています。これは、国と企業の『仕組み・制度の問題』だと思うし、そこから変えていかない限り、何も変わらないでしょう。

サイボウズは勤務時間や内容を選択できる仕組みを導入していたはずです。それを強く押し出す、アピールするものであれば、もっと良かったのでは、と感じています。

長文失礼しました。

| T2 | 2015/01/14 08:18 | URL | >> EDIT

視野狭すぎw

| | 2015/01/14 08:54 | URL |

Re: 激しく同意します

>T2さま

コメントありがとうございます!
第一弾のムービーが特設サイトに出た時に、
企業としての具体的な取り組みを詳しく紹介するようなページに
飛べるのかと思って期待したんですが、
あんまりなかったんですよね…。
もしこのあとに出すつもりなのなら、
早くしないとせっかく高まった皆の期待が
どんどんしぼんでしまうのではと心配しています。

| umeda temaki | 2015/01/14 13:07 | URL |

高度経済成長期以前は、
今よりずっと明確に、男性・女性の役割が決められていたのでは?
アマゾネスとか特殊な例を考慮するなら知らんけど。

| cent | 2015/01/15 15:49 | URL |

Re: タイトルなし

>centさま

https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/ctorii24.pdf

↑こちらの文献に、
「女性が結婚前には正社員として働き、結婚・出産で退職し、
子供がある程度成長するとパート労働者になるという
女性特有の働き方が生まれたのは、高度経済成長期以降である。
それ以前には女性も夫と共に田畑で重労働の第一次産業従事者として
働いていたが、サラリーマンと結婚し、専業主婦として
家事・育児だけに従事することを理想とするジェンダー(性別)観ができ、
これに抵抗がなく、またあこがれた。」

とありました。
それ以前に男女の役割が分かれていなかったことはないにしろ、
サラリーマン&専業主婦というモデルが出来上がったのが
高度経済成長期だった、ということでしょうか。
表現が正確でなく失礼しました。

| umeda temaki | 2015/01/15 18:44 | URL |

>企業としての具体的な取り組みを詳しく紹介するようなページに飛べるのかと思って期待したんですが、あんまりなかったんですよね…。

探してみたらサイボウズのサイトにこういうページがありました。
こういったものでは、まだ不十分ということでしょうか。

http://cybozu.co.jp/company/workstyle/

| M | 2015/04/14 09:07 | URL |

Re: タイトルなし

>Mさま

なるほど、こういうページがあるんですね。
教えてくださりありがとうございます!

しかしこれではキャンペーンサイトを見に来た人はまずたどり着かないですね…。
できればちゃんともっと自然に誘導されるようにするか、
それこそこういう内容も含めてキャンペーンサイト内に
わかりやすいページを構築してもらえたらよかったのになと思います。
あえて自社のことは語らなかったというような話をどこかで聞きましたが…

| umeda temaki | 2015/04/14 12:20 | URL |















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